Lush Life

豪勢な生活

朝起きて珈琲を啜り、
昨夜奮闘したカレーを温めなおす。



テレビでは一昨日のブンデスリーガの試合。
強豪バイエルンが雨の中、ドルトムントに苦敗する。
ゴールマウスを守るゴールキーパーオリバー・カーンの顔に悔しさが滲み出ている。



クリーニング上がりの白いシャツに袖を通し、
洗い立ての洗濯物を干す。
空が透けるように淡い。
本当にあの向こうに漆黒の闇の世界があるとは、到底想像がつかない。



昨夜読んだ森ミステリーの一節を思い出す。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



「外部とは何ですか?」四季は尋ねた。
「外部ですか・・・・・・、いや、外部は、つまり、外側のことで、建築外、周囲の社会、そして自然のことだと思いますが」
「そういった概念を人が感じるとき、それは電波やケーブルを伝わってくる信号と実体は同じものです。では、外部とはアンテナやケーブルの中にありますか?それでしたら、通信ケーブルという窓が開いていれば充分では?」
2005 講談社文庫 「四季 夏 Red Summer」 森博嗣著 P.25

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::




マトリックス
映画の中でモーフィアスはそう説明する。



作家宮沢賢治
春と修羅の序章でこう言ふ。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失はれ)
宮沢賢治全集1」ちくま文庫筑摩書房

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::




仕事終わり、親友と出町柳のトイレの裏のジャズ喫茶で
近況報告をベースに積もった話をする。
あっという間だったけど、
本当に素敵な時間だった。
前を向く姿勢は、人を豊かにするのだろう。
バスで行く友を見送った後、
自分の素敵な生活環境に感謝した。



電車に揺られながら、
車内を見渡す。
前のサラリーマンは熟睡している。
乗り過ごさなければいいが・・・。
要らぬ心配かもしれない。
横のカップルは本当に仲がいい。
でも、一切のいやらしさもない。
子供を抱く母は、それは尊く、
暗い帳が降りる西の空を見つめている。
イヤフォンからビートルズが流れる。



There are places I'll remember
All my life though some have changed
Some forever not for better
Some have gone and some remain・・・



八幡前駅で降りると近所の家から夕食のにほいがした。。。